20周年記念個展回顧

2023.05.09

彦十蒔絵 若宮隆志展
『変態する漆器』
日本・東京セイコー銀座のホールにて2023年2月9〜19日開催いたしました

沢山の方にご来場いただき誠に幸せであり感謝を申し上げます!!

棟梁の若宮隆志が東京へ展示会を開催するようになって20年の節目に、旧銀座和光ホールにて個展を開くことができました。漆芸に携わって20年間、皆様の支えがあって継続できたことは何よりの喜びです。

変革(変態)してきた彦十蒔絵は素晴らしい方々のお力添えを頂き、エンターテインメント形式で記念個展の企画実施を行いました

AR、CG、アニメーション、ロボットなどの現代技術を漆芸とコラボをした漆芸展示会は和光さんでは初めてとの事でしたので、ご担当の方々は戸惑いながらも最大の協力をしてくださいました、深く感謝を申し上げます。

この展示会では一つ重要な取り組みがありまして、
それは「縁の下の力持ち」職人たちの顔を見せる事でした。
職人写真(約20名/男女半々)

漆芸は「分業制」で、木地→下地付け→上塗り→呂色→蒔絵や沈金の順番で制作する文化、
一人で全て行うのは非常に難しい〜〜
一つの工程をマスターするのに10年以上かかります。
作品一つ一つの制作は棟梁若宮隆志が職人人選組合せから始まります!!
職人の技術を熟知しているので、個々の技術の組合せによって素晴らしい楽しい作品の完成につながります。
この記念個展では普段顔の見えない存在の職人達を表へ誘導し、観客さんに知ってもらうように仕掛けを考えました。
*合わせて、作品キャプションには各制作工程の担当職人の名前も表示しました。どの職人はどの作品にかかわったか確認できるようにしました。

そして、なんと言っても、エンタテインメント性の最大な見せ所は早石直広さんの(株)計数技研チームと大阪芸術大学の安藤英由樹先生がこの記念個展の為に特別プログラミングをしていただいたインスタレーションやロボットアームの装置でした。
ZOOMでのオンライン打ち合わせ、技術エンジニアの皆様に輪島現地入りしてもらって漆芸の説明紹介も行い、またエンジニアさんが居る大阪へ出向かい試作の相談や制作確認、1年間の中で皆さんにお力添えをいただき、展示会の1週間前は安藤英由樹先生に大雪と断水状態の輪島へお越しいただき、装置と完成した漆芸作品との動作確認を行い、展示会設営前夜までギリギリセッティングしてもらった事、本当に大変でした。(ふぅ〜)

10日間の展示会は無事に作動して完璧な演出ができ大変感激でした、ご来場の皆様も楽しんでいただけたと思いますが、一回きりの展示でしたので、閉会後装置はバラバラになり再現することは2度としない。。。もう一回見たい〜との声に応えて、こちらで保存した映像を編集して動画にしたものを再生いたします。

AR動画
作品:夜叉ヶ池 龍と梵鐘の蓋物 /泉鏡花小説引用・イラスト:中川学

ロボットアーム動画 
作品:龍潭譚 お重箱/泉鏡花小説引用・イラスト:中川学

 

もう一つ大作の取り組みは「20周年記念図録」の制作
グラフィックデザイナーである・デザイン事務所iD.(アイディー)代表 泉屋宏樹(いずみや ひろき)さんに前代未聞の『蛇腹折仕様+デジタル技術』の図録を制作いただきました。

厳選された20作品+説明文(日・中・英表記)を掲載。
サイズは天地290×左右128mm(本文)。
全長は真っ直ぐにすると3.8m。
ここまで長い蛇腹本を作ったのは泉屋さんも初めて。
紙のとりや印刷、加工上の都合もあり、6折ずつの紙を5面繋いでいます。
面と面のつなぎ合わせは全て手作業によるもので、本当にすごい図録になりました!!


この図録は購入も可能です、詳しくはこのリンクから詳細の説明をお読みください。

*特別感謝* その1
小学館のセバスチャン高木さん&先入観に支配された女サッチーさん
漆坊主こと若宮隆志と一緒にPodcasterの「漆チャンネル」を運営している名MCの二人はほぼ毎日展示会場へ来てお客様へ作品説明を一緒にしていただきました。

*特別感謝* その2

「龍潭譚絵本」の絵を担当された”浄土宗西山禅林寺派の僧侶”イラストレーターの中川学さんとその仲間達が会期に合わせて「夜叉ヶ池のショートアニメーション」を制作していただき会場で放映させていただきました。

<プロデューサー/アニメーション制作> 中川学
<ディレクター/編集> 青木香
<出演> 升田学
<音楽> 等々力政彦
<音響> 西浦恒
<撮影> 柴田誠 N.U.I.project
<デザイン> 泉屋宏樹
<衣装・スタイリング> 亀岡えり

2023年は泉鏡花生誕150年の記念でもありますので、会場で流したアニメーションのロングバージョンは今年の秋頃に泉鏡花記念館でご覧になられます。

彦十蒔絵の20周年記念個展のため、セイコー銀座のご担当者や職員達、以前制作した彦十蒔絵の作品を展示用に貸してくださったお客様にも心より大変感謝を申し上げます。